シナリオ作業が一段落し、スクリプト関係・イラスト関係の作業に移行しているところなのですが、そこで色々考えたことがあるので書いていこうと思います。
特に今回は、作画コストについて。
※前提として、ここで扱う「作画」という言葉は、絵を描くこと全般を指すとお考えください。
アニメーション業界における「作画」ではなく、どちらかと言えば漫画における「作画」に近いものです。
目次
作画コストを下げることは必要
もし、潤沢な資産と労働力があったのならば、あらゆる部分に妥協せずゲーム制作を行うことも可能かもしれません。
しかし、仮にお金と多くの従業員のいる大企業であったとしても、作画コスト含め妥協が必要となります。
まあ、これを妥協と呼ぶのであればですが。
要するにある程度制限された環境で、無理な目標に向かうことはエレガントさに欠けるわけです。
どのような制限があるのかいくつか挙げてみましょう。
お金
先ほども挙げましたがお金です。
企業なら、人件費や設備投資他、かなり多くのものにお金を必要とするでしょう。
採算がとれる必要もあるため、コスト削減は必須です。
作画なら、2Dだとあまりないかもしれませんが、3Dだと部分的に使い回したり、必要に応じて細部を簡略化する場合があります。
個人の場合は正直採算をとろうとまではいかない場合が多いでしょうけど、個人ゆえにかけることの出来るお金も多くはありません。
資料やツール、細かい部分もいえば創作中のおやつや電気代などもかかりますね。
正直、個人の場合お金を理由に作画コストを下げることは少ないかもしれませんが。
委託なども視野に入れるとなると、料金のシステムによっては作画コストを下げる指示を出すこともあるでしょう。
労働力
正直、これがかなり大きいと思います。
作画の品質を上げることは、作品のクオリティにも影響しますが、必ずしも完全に比例関係にあるとは限りません。
企業なら人件費に影響しますし、納期にも影響します。
個人においても、同じようにあまりにも高い品質の作画を求めるがゆえに、作品が完成しないという場合も出てくるかもしれません。
この辺りは、個人の作画能力による所もあるでしょうけど、時間や労力が消費するのは創作に対するやる気も含みます。
ゆえに、なるべく小さなタスクを積み上げるようにゲーム制作をしたいところです。
開発環境
こちらも、影響します。
どのようなゲームエンジンで開発するのか?
そのゲームエンジンはどんなことが得意で、どんなことが苦手なのか?
それによっては、必要となる画像データの種類も変わってきます。
今回は作画コストについて語りたいのですが、これは結局ゲームを制作する際の総コストにも影響を及ぼします。
能力
そして最後に、作画能力です。
企業であればプロが作画するのでなんとも言えませんが、個人の場合その個人の能力によって作画されます。
時には絵を描くのが苦手な人もいるでしょう。
ゲーム制作をしながら足りない能力を成長させていくことも、ゲーム制作の醍醐味ではあるのですが、それがやる気との均衡を保てるかは別の話です。
作画コスト削減をポジティブに考える
先に書いたものは、作画コストをせざるを得ない理由として挙げたものです。
ここからは、それを逆に作品のプラスになるよう考えていきます。
苦手を抑制し、得意を打ち出す
これは能力に関するものですが、ゲームで使用するイラストデータは多岐にわたります。
そして、イラストを描く人間も得意不得意がその中であるだろうと思うのです。
例えば私の場合ですが、ゲームの素材で言えばキャラクターを描くのが好きです。
ですが、立ち絵のようなある程度統一されたキャラ素材を作るのは慣れておらず苦手です。
あと、背景を描くのはとても苦手です。
【得意】 キャラデザイン > キャラ立ち絵 > 背景 【苦手】
とこんな感じです。
ですから実際ゲームに組み込まれる素材としては、イベントCGなんかを描くのが好きなわけです。(背景を除く)
さて、ここで僕は考えます。
いえ、最初は考えてなどいなかったので、得意不得意にかかわらず作画作業に取りかかろうとしていました。
しかし、思うのです。
キャラクターの立ち絵を描くのがすごく大変だ
大変な作業が生じるのは仕方ありません。
そういうこともあります。
しかし……描いていて気づくのです。
もしかして、差分も描かないといけないのか?
私はビジュアルノベルゲームを作っているので、一般的なビジュアルノベルゲームであればよく使われる手法。
差分を表示させて、キャラの表情などを変化させるものですが、バリエーションを増やそうと思えばその分作画にかかるコストが増大します。
さらに、それは私が苦手とする作業。
こんなことやってられるか!
と作業を放棄することはありませんが、このままだと上手くいかないと気づいたのです。
仮に、仮にです。
頑張って差分を含む立ち絵イラストを完成させたとしましょう。
それは苦手な人間が苦手なりに頑張って作ったものですが、それゆえに品質は満足いくものにはならないでしょう。
つまり、かけた労力に対して得られるものが釣り合いません。
そこで私は思うのです。
差分いらないんじゃね?
もう思い切って差分をなくしてしまおうと考えたのです。
これは斬新なようでそうでもない手法です。
ビジュアルノベルゲームにおいて、現在のスピーカーが誰であるかを分かりやすくするための立ち絵ですが、正直シナリオテキストにはイラストなしでも誰が話しているのか分かるような表現力が必要だと考えます。
つまり、極論ノベルゲームとしては、イラストがほとんどなくて文字を送っていくだけの構成でも成り立つのです。
それに、私はキャラの表情の変化やアクション表現を諦めたわけではありません。
それについて以下に記述していきましょう。
立ち絵差分の代わりになるもの
ビジュアルノベルゲームでは、背景の全面に立ち絵を表示させ、主に立ち絵の変化(キャラ表示増減など含む)により視覚的な動きを出します。
しかし、別にその方式だけにこだわる必要はありません。
背景に表示させるCGでキャラクターを含む動的なシーンを演出することも出来るのです。
これは主にイベントCGで使われる手法ですが、その比率を高め、イベントCG内でキャラ差分を作ろうと考えたのです。
結局差分を作りのかよ……と思うかも知れませんが、僕は一枚絵での差分ならそれほど苦労せずに作る事が出来ます。
つまり、苦手な部分を減らし、得意な部分で工夫することで代用するわけです。
しかもこれは、立ち絵であれば水平的な表現がメインになりますが、一枚絵のCGを用いることで、奥行きがありダイナミックな表現もできるのではないかと思うのです。
昔のビジュアルノベルゲームだとあまりないですが、近年のビジュアルノベルゲームだと、そういった表現も多く見られています。
まあ、商業作品は立ち絵の差分もありつつ、そういう表現もしつつというリッチな感じですが。
私は個人製作ですので、その表現手法を作画コスト低減に利用することにしたのです。
背景もお金をかければ
コストの話でお金について言及しておいてあれなんですが、一番苦手な背景も解決手法を編み出しました。
それは、建築デザインソフトを使う事です。
これがまぁ……普通にプロも使うソフトなのでお高いのですが、すごい便利で背景画像にも使えるので長期的に見ればコスパは良いはず。
実際どのように使うのかは、いずれ記事にしたいと思います。
作画コストを下げても、作品の魅力が下がるとは限らない
単純に面倒だからという理由でなければ、コストカットが有効に働く場面もあるのではないかというお話でした。
まだ作品が出来上がっていないのでなんとも言えませんが、個人的には大きな発見だったので記事にさせていただきました。
創作のヒントになれば幸いです。
それではまた次回♪