個人でゲームを作る理由として、様々な管理をマイペースに行えるという利点があります。
しかし、現実にはマイペースという点に油断し、ゲーム開発の進行を大幅に遅らせてしまうことも少なくありません。
今回は、個人でゲーム開発を行うからこそ押さえておきたい、ゲーム開発全体における典型的失敗と回避策について学んでいこうと思います。
目次
1. プロジェクト管理と進捗トラッキング
失敗の原因
個人でのゲーム開発において、タスク管理や進捗の追跡(トラッキング)が不十分な場合が多いです。
この結果、重要なタスクが遅れたり、全体のスケジュールが狂ってしまう可能性があります。
先にも述べましたが、これが個人で開発する際の利点でもあり欠点でもあるのです。
トラッキングの重要性と方法
進捗のトラッキングは、プロジェクトで何が行われているのかを継続的に追跡・監視することです。
例えば、特定の機能の開発が予定より遅れている場合、それが全体のスケジュールにどう影響するのかを把握するためには、進捗のトラッキングが必要です。
具体的には、週次や月次での進捗報告を自分自身に行うことが有用です。
回避策
タスク管理ツールを活用して、進捗を定期的に自分自身で確認する習慣をつけましょう。
これにより、何に時間がかかっているのか、何が遅れているのかを明確にし、必要な調整がスムーズに行えます。
僕はExcelで管理ツールをつくり、管理しています。
Excelのテンプレートにタスク管理関連のものがあるので、それを流用するのも良いでしょう。
2. スコープ拡大とそのリスク
失敗の原因
明確なゴール設定が不足すると、プロジェクトのスコープが拡大してしまいます。
この「スコープクリープ」と呼ばれる現象は、プロジェクトの遅延や品質低下を招きます。
回避策
最小限の機能で成立するプロダクト(MVP:Minimum Viable Product)を明確にし、スコープの変更は厳格に管理するようにしましょう。
具体的には、新たな機能追加や変更があった場合、それが全体のスケジュールや品質にどう影響するかを評価し、必要ならスケジュールの調整や優先順位の変更を行います。
特に優先順位というのは重要です。
目標が分散すればどこから手をつけて良いか分からなくなり、進行の方向性もおかしくなってしまいます。
3. 予算の管理と計画
失敗の原因
特に個人開発では、予算(ソフトウェアライセンス、素材費など)が限られている場合が多いです。
予算超過はプロジェクトの遅延や中断を引き起こす可能性があります。
これは個人に限らず、資金力が少ない場合に生まれる問題ですね。
いや、資金力があっても回避できない問題とも言えるでしょう。
回避策
予算を項目別に明確にし、余裕を持った予算計画を立てることが重要です。
例えば、素材費には20%、ソフトウェアライセンスには30%といった具体的な割合で予算を分け、その範囲内で開発を進めるようにします。
ただ、単純にコストのみを考えるのではなく、必要に応じて予算を組む必要があります。
何かのソフトを購入することで、恒久的に作業速度が上がるのであれば、購入をお勧めします。
その場合は、充分に情報収集し、セールやアップデート、上位グレード製品の発売タイミングなども考慮しましょう。
4. テストフェーズと品質保証
失敗の原因
テストケースが不足していると、リリース後に重大なバグが見つかる可能性があります。これはユーザーの信頼を失い、評価を下げる要因となります。
回避策
十分なテストケースを用意し、ユーザーテストも実施しましょう。
特に、ゲームの操作性やバランスに関するテストはプレイヤーの評価に直結するため、多くの人にテストプレイしてもらい、フィードバックを集めることが有用です。
個人の場合、これが難しい事もあります。
その場合は時間がかかりますが、自分でテストを行いましょう。
自分の主観だけでなく、様々なユーザーの視点を持って取り組む必要があります。
案外見落としがちですが、このテストに費やす時間はかなり必要であると考えるべきでしょう。
スケジュール管理にも影響してきます。
5. マーケティング戦略の重要性
失敗の原因
ターゲット市場の誤認は、ゲームがうまくいかない大きな要因です。例えば、対象年齢層や国・地域を誤って設定すると、マーケティング活動が的外れになる可能性があります。
回避策
市場調査を徹底し、プロモーション計画も早めに立てることが重要です。
具体的には、ゲームのジャンルやスタイルに応じて、最も効果的なマーケティング手法(SNS活用、ブログ記事、広告など)を選定します。
作りたいから作る、というのが一番の目的かも知れませんが、ターゲット層をある程度意識することは大切です。
仮にターゲット層が薄いジャンルのゲームであった場合、その評価数は少なくなりますが、事前に理解していなかった場合、過度に落胆する場合があります。
6. ユーザーエクスペリエンス(UX)の最適化
失敗の原因
ユーザーエクスペリエンス(UX)が悪いと、ゲーム自体の品質が高くてもプレイヤーに受け入れられません。操作が煩雑であったり、ロード時間が長いといった問題がUXを低下させます。
UXの具体的な要素
UXとは、ユーザーが製品やサービスを使用する際の体験や感じ方を指します。ゲームにおいては、操作性、グラフィック、サウンド、ロード時間などが該当します。
回避策と例示
プロトタイプでのユーザーテストを行い、フィードバックループを早めに作ることが重要です。例えば、テストプレイヤーから「この操作が難しい」というフィードバックがあれば、操作性を改善することでUXは高まります。
正直、個人レベルでUXまで考えるのは難しいです。
しかし、完成後の修正なども考えるのであれば、長期的には無視できない部分でしょう。
まずはUIからこだわっていき、徐々に良くしていくと良いでしょう。
可能であれば、UXを修正しやすいゲーム開発、パーツごとに修正しやすい構造にするなど工夫できると良いですね。
7. 技術選定
失敗の原因
新しいか魅力的な技術に目を奪われがちですが、その技術がプロジェクトに適しているわけではありません。
例えば、VR技術が注目されているからといって、それが自分のゲームに必要かどうかを冷静に考える必要があります。
回避策
技術の選定はプロジェクトの要件に基づいて行いましょう。
具体的には、ゲームのスケールや目的、ターゲットプラットフォームなどを考慮して、最も適した開発環境や言語を選定します。
技術は日々進歩します。
なのでチェックは必要ですが、導入となると慎重にすべきでしょう。
場合によっては、使い慣れた古い技術の方が問題なく素早く作業出来るかもしれません。
求める品質を出力出来るのであればですが。
8. リリース戦略とマイルストーン
失敗の原因
リリース日を適当に設定すると、その日にリリースできる品質になっていない場合があります。このような状況は、プレイヤーや関係者に対して信頼を失う要因となります。
僕は今作っているゲームに関しては、リリース未定にしています。
それは僕の未熟さゆえなのですが、出来ればリリース日を意識した開発が出来ると良いですね。
マイルストーンの設定と活用
マイルストーンとは、プロジェクトの進行において重要な節目や達成すべき目標を設定することです。
例えば、3ヶ月後にはプロトタイプを完成させる、6ヶ月後にはベータ版をリリースする、といった具体的な目標をマイルストーンとして設定します。
回避策
マイルストーンを設定して進捗を確認し、必要な調整を行いましょう。
このマイルストーンは、プロジェクトの各フェーズでの目標を明確にし、それに対するアクションプランを立てる基盤となります。
少しずつマイルストーンを達成していく。
ゲーム開発自体も、ある種ゲームのようなものです。
だからこそ楽しいのかも知れません。
9. チームでの開発と個人での開発の違い
失敗の原因
個人での開発では、多くの作業を一人で行う必要があります。
このため、多くのスキルセットが求められ、それぞれの作業において専門的な知識や経験が不足する可能性があります。
回避策
個人での開発においても、チームでの開発で学べるプロジェクト管理やコミュニケーションのスキルは有用です。
具体的には、タスクの優先順位付けや、必要なスキルの習得・向上に努めましょう。
多重人格になれとは言いませんが、それくらいやることは多いと肝に銘じましょう。
たくさん学ぶことがあるというのは、人間として成長する上でプラスになるでしょう。
10. 継続的な学習とアップデート
失敗の原因
技術や市場は日々進化しています。継続的な学習がないと、時代遅れのゲームを作ってしまう可能性があります。
回避策
新しい技術やトレンドを常に学び、ゲームをアップデートすることが重要です。
例えば、新しいゲームエンジンが登場した場合、そのエンジンが提供する新機能を活用してゲームをアップデートすることで、プレイヤーに新しい体験を提供できます。
これは簡単ではないのですが、情報を知らなくては無駄が生じる事もあります。
限りある時間を有効に使う上でも、情報収集と理解のアップデートは必要です。
仮に実践レベルで出力しない場合でも、役に立つことは多いです。
11. モチベーションの維持
失敗の原因
長期間にわたる開発では、モチベーションの低下が避けられない場合があります。モチベーションが低下すると、作業効率が落ち、プロジェクトが停滞する可能性があります。
回避策
小さな成功体験を積み重ねることで、モチベーションを維持しましょう。また、定期的に自分自身の成長を振り返ることで、達成感を感じ、モチベーションを高めることができます。
時間がかかる作業と、短時間で出来る作業を用意しておくと、上手く時間を利用し、達成感を得られるかもしれないですね。
12. フィードバックの重要性
失敗の原因
自分自身の視点だけで開発を進めると、客観的な評価が得られない場合があります。このような状況は、ゲームの品質向上につながらない可能性が高いです。
回避策
友人やオンラインコミュニティでのフィードバックを積極的に求め、改善点を見つけ出しましょう。
具体的には、ゲームのベータ版を限定的に公開し、ユーザーからのフィードバックを収集します。
個人レベルだとなかなか難しいかもしれませんが、似たようなゲームを開発している人・プロダクションなどが開発記録をネットに上げていたりするので、そこから類似する問題点を見つけ出し改善するのもおすすめです。
13. ドキュメンテーション
失敗の原因
開発過程やコードのドキュメンテーションが不足していると、後で修正や機能追加が困難になります。
これは特に、長期間にわたるプロジェクトや、後からコードを見返す可能性がある場合に問題となります。
回避策
開発過程での重要な決定や、コードの仕様をしっかりと文書化しておきましょう。これにより、後からコードを見返したときや、他の人がコードを理解する際に、大いに役立ちます。
これは本当に重要で、仕方なく開発が停滞した場合など、久々にコードなどを確認すると何が何だか分からない場合があります。
問題が発生した場所、改善した方法などはメモ帳などで記録を残しておくと、未来の自分が助かります。
14. バージョン管理
失敗の原因
バージョン管理を怠ると、過去の状態に戻せなくなる可能性があります。
これは、新しい機能の追加やバグ修正が困難になるだけでなく、データの喪失リスクも高まります。
回避策
管理ツールを使い、変更履歴をしっかりと管理しましょう。これにより、過去の任意の状態に戻ることが可能となり、開発がより柔軟に行えます。
これはゲームエンジンのアップデート、特に大型アップデートがあった場合に重要なことです。
バージョン相互に対応しているところもあれば、そうでないところもあるので、バックアップはしっかりとり、コピーしたデータで試しにバージョンアップするようにしましょう。
あと、バックアップですが、同じフォルダに投げ込み続けるのではなく、別のフォルダ(出来ればドライブの異なる場所)にもう一つ用意しておくと良いです。
バックアップフォルダごと消える事がないとは限りません。
セキュリティの問題さえ回避できれば、クラウドを使うのも一つの手でしょう。
15. リリース後のサポート
失敗の原因
リリース後のサポートが不足すると、ユーザーからの信頼を失います。
特に、バグが報告された後の対応が遅いと、ユーザーは不満を感じ、アプリをアンインストールする可能性があります。
回避策
リリース後もアップデートやバグ修正を継続的に行い、ユーザーサポートにも力を入れましょう。
具体的には、ユーザーからのフィードバックに対する対応プランを事前に準備しておくと良いでしょう。
これも重要なことです。
しかし、場合によってはアップデートするより新作を出した方が良い場合もあります。
状況に応じて、しかし信頼を損なわない程度にアップデートを完了とし、次の開発に移るのも手です。
16. まとめ
個人でゲーム開発をするからこそ押さえておきたい、典型的失敗の回避策についてまとめてみました。
マイペースにやるからこそ、適当になりがちな部分をまとめておき、壁にぶつかったときにこれを思い出して修正していけたらなと思います。
個人でゲーム開発を行っている方々の、何かヒントになれば幸いです。